落書き、ボツ作品

海外出張中にお腹が寂しくなっちゃう武蔵君。

letm_official

先日に引き続きボツ作品です。海外出張中におちんちんが欲しくなっちゃった武蔵君がナンパされるお話。
ボツ作品の例に漏れず中途半端で終わっていますが、武蔵君は何やってても可愛いので……よろしければどうぞ!

 体は疲れていて早く休みたいのに、やたら下半身だけが昂る謎現象は、男なら誰しも経験があるだろう。一説によると、男が弱っている時、イコール大袈裟に言えば死が迫っている時こそ、「子孫を残さねば」という本能により下半身が反応してしまうらしい。事故で亡くなった男性のナニが勃起していたという事例もあるようだ。
 とまぁそんな理屈はさておきとして、武蔵は海外での仕事の峠を一つ越え、へとへとでホテルに帰ってきた所でムラっとする感覚が来てしまった。いつもならさっくりヌいて終わるはずの疲れマラ。だがこの日はいくら扱いてもイケずじまいの苦しい時間が続いていた。体が熱くて頭がぼやけて、口から切ない吐息が漏れるばかり。
(もぉ、イけなくて、くるしい……ッ……月影さん……月影さん♡ 月影さんと、セックスしたい……!♡♡)
 原因は分かっていた。普段であれば仕事で疲れている時は、月影が愛情たっぷり父性全開でご奉仕してくれるからだ。乳首を捏ねられながら口内の性感帯を擽るキスをして、首筋をなぞってもらい、脇腹を擽って、ペニスへの甘コキでじれったく性感を高めた後に、フェラチオをしながらアナルをじっくりくちゅくちゅ解される。そうやって体全体がトロけた所で、お腹の奥を恋人ちんぽでたっぷりと愛してくれるのだ。体の中でも外でも大好きな人肌を感じながら、優しいピストンで甘やかされて、ウットリする程深いセックスで気持ちよく絶頂する時の充足感と幸福感は筆舌に尽くしがたい。それを覚えてしまった体が、まさか寒々しいホテルの一室での、単純な手コキオナニー程度で満足してくれるはずがなかった。早くあの快感を寄越せ。早くあの多幸感を味わわせろと、体の芯がせっついてくる。
 ただその一方自分で尻を弄る気には到底なれず、エロ動画を駆使して何とか男性的な興奮を高めようとはするものの、むしろ女優が羨ましくて悶々とするこの悪循環。奇しくも月影が隣に居ない時間によって、武蔵は自分の体の変化をまざまざと思い知らされる事となった。
(あぁぁ……月影さんのちんぽで……♡ おまんこ穿られたいよおぉ……♡♡)
 画面の中でピストンされるペニスを眺めつつ、膝を左右に開いた恥ずかしい格好で、疼く下腹をくいくいと虚空に突き出してしまう。
 結局この日は動画と月影への想像力を総動員して何とか絞り出す事は出来たものの、愛情たっぷりのセックスで得られる絶頂感とはほど遠く、後には疲労感と虚しさだけが残ったのは言うまでもない。
 
 ◇
 
 そして翌朝、武蔵はホテル近くのカフェのテラス席に居た。
 目の前には、ほとんど手つかずのアイスコーヒーとBLTサンドイッチ。そして、雑踏と耳慣れない言語での世間話が右から左へと抜けていく。武蔵は英語が喋れるが、スイッチを入れていない状態では日本語と同等に理解が及ぶ程ではない。よって半分意味が分かりながらも掴み切れないざわめきは、ねむたい頭で感じるBGMとしては最適だった。
(今日どうすっかなぁ……)
 本日は、次の仕事が始まるまでの束の間の休日だ。部下二人はそれぞれお目当ての観光スポットに出掛けたらしく、自分も誘われはしたのだが、気分がノらないために断った。それもこれも昨日の不完全燃焼すぎるオナニーのせいだ。性欲が満たされれば調子が戻る気がするが、海外で女を買うのは怖すぎるし、そもそも女を相手にした所で解消する物ではないと自分が一番よく分かっている。それならばいっそ、知らない街並みを楽しみながら走り込みでもして気を紛らわそうかと、海外に来てまでわんぱく運動部気質が顔を覗かせたのだが、いかんせんそれもまた行動に移すには少々億劫だった。
 そんな事を考えながら、しばし何をするわけでもなく、ぼんやりと空を眺めたり周囲のおしゃべりに耳を傾けたりしていた。斜め後ろの席の白人カップルは、昨今の政権情勢について熱く語っているらしいのだが、頭を働かせる気がない今の武蔵にとって詳しい内容まではよく分からなかった。月影さんなら、聞こうとしなくたって一から十まで全部分かるんだろうなぁ……なんて、ネイティブと遜色ない語学力のパートナーを自然と思い浮かべてしまうのだから始末が悪い。
 そうしてダラダラと十分程、何の意味もなく時間を食いつぶした頃だろうか。視界の隅に、ことりとトレイが置かれた。
「相席いいかな?」
 英語での声かけに顔を上げると、束ねたドレッドヘアーとゴールドのピアスがお洒落な黒人男性が立っていた。そこで初めて気づいたのだが、いつの間にか客が増えて、席が全て埋まってしまっている。
「あぁ……いいよ。俺もう出るから」
 そう言って武蔵が立ち上がろうとした所で、手のひらがそれを制してきた。
「もしかして遠慮してる? まだ途中なら付き合ってよ。一人で食事するのも寂しいなと思ってた所なんだ」
 指摘されて自らのトレイに視線を落とせば、コーヒーは半分も減っておらず、サンドイッチに至っては未開封だ。遠慮と言うよりは、相席してまでこの場で食事を済ませたい訳でもないと言った方が正しいのだが……。しかし提案を蹴るのも申し訳なく思えてしまい、武蔵は結局着席し直してストローに口をつけた。自分は意思表示がハッキリしている方だとは思うのだが、海外に来ると、こういう風に空気を読んでノーと言い切れない部分はやはり日本人だなぁと感じる。
「お兄さんどこの人?」
「日本」
「そうなんだ。英語上手いね。こっちに住んでるの?」
「住んではねぇけど仕事で来てて、今日は休み」
「へぇ~。今日は一人で過ごす予定なの?」
「そのつもりだけど」
「奇遇だね。僕も今日は一人なんだ。良かったらこの辺案内しようか? 観光雑誌には載ってないようなスポットいっぱい知ってるよ」
 そこまで聞いて、武蔵はこの男の真意を悟った。
 自分は外国人ウケがいい方だ。切れ長の目元と、黒髪、大きくない体躯と、実年齢より若く見られる顔立ちに日本人らしさが詰まっており、東洋系が好きなタイプにヒットするらしい。日本より気軽にナンパが行われる文化の国において、こうやって興味本位でアプローチをかけられたのは、今回が初めてではない。
「あー……」
 言葉を濁して間を繋ぎながら、ちらりと男の様子を伺った。
 黒人の顔立ちはどれも似たり寄ったりに見えてしまうが、少なくとも清潔感があり、スレンダーで、身に着けている物の趣味が悪くない事だけは分かる。シークレットサービスを雇う人間が住むような地域は生活水準が高く治安もいいため、金品目当ての貧困層でも危険人物でもなさそうだ。そして何より
(……黒人のチンポって、どんな具合なんだろうな……)
 昨晩からの欲求不満が尾を引いて、そんなスケベゴコロが首を擡げてしまった。
 それだけが目的とまでは言わないが、ナンパの裏側に「あわよくば寝られたらいいな」という下心が張り付いているのは、きっと万国共通のはず。だったら性欲解消のための棒に使ったとしても、何の問題も無いむしろウィンウィンではなかろうか。
(硬さは日本人の方があるって聞くけど……でもぜってぇ月影さんよりはでかいよな。長くてぶっといのかなぁ……いつもと違うちんぽで腹ん中引っ掻かれたら、どうなるんだろ……♡)
 その妄想だけで、下腹がきゅんと熱を持つ。五年前ならこんな考え頭の片隅にも浮かばなかっただろうに、いつの間にやらテーブルの下に隠れた黒人の下半身を想像するようになってしまったなんて。順調に開いてはならない扉を開き続けているなぁと感じる。例え月影と関係を持ったとて、自分は生涯バリタチの予定だったし、ケツにチンポ突っ込まれるなんて体験、将来設計の中に組み込んでいなかったはずなのに。いやぁ、人生って、何がどう転ぶか分かったもんじゃありませんなぁ。
「……じゃあ頼もっかな」
「えっ、ほんとにいいの? お兄さんノリいいね」
 冗談半分のつもりだったのだろう。思いもよらぬ快諾に、男の目が輝いた。ともあれまさか、男同士でおしゃべりしながら周辺の観光地を巡るなどという冗長な事がしたいわけではない。もっと手早く事を進めたい武蔵は、男に向けて含みを持たせた笑みを一つ。
「でもまず荷物取りにホテル戻りたいから……ついてきてくんね?」
 
 男は部屋に入るなり武蔵の腰に手を回してきた。
「エキゾチックで魅力的な人が居るなあって、ダメ元で声かけたんだ。それがまさかいきなりホテルに誘って貰えるなんて思わなかったな」
 肉厚な唇でのキスが降ってくる。体を弄られながら、耳元で「可愛いね、綺麗だよ」と口説かれる。普段はこんな扱い御免被るのだが、異国の開放的な空気と、母国語ではない言語と、この男の遊び慣れた雰囲気と、燻る性欲と、全てが武蔵を高揚させていた。どうせなら思いっきりこの立場を楽しんでみたくなってきて、しなっぽく吐息を零しながら男に腰をすり寄せてみたり。そうするとますます嬉しそうな気配が降ってくるのだから、自分の一挙手一投足で相手を欲情させるこの感覚がクセになりそうだ。
 いよいよシャツが捲り上げられ、武蔵の体を見た男が口笛を鳴らした。
「すっごくセクシーだね。もしかしてアスリート?」
「アスリート、ではないけど、ん♡ 仕事柄、鍛えてる……っ♡」
 筋肉の凹凸をなぞるように動く指先に、ひくひくと体が打ち震えた。そしてへそ下を押された瞬間に、下腹が媚びるように跳ね上がる。
「ああ……ここで気持ちよくなれるの知ってるんだね。顔も体もクールなのにネコだなんて堪んないなぁ……♡」

この後黒人さんのでっけぇちんぽでズッコンバッコンして貰って寂しさが紛れるバリネコ武蔵お兄さんなのでした。

本人はその気ないのにネコちゃんとしてモテモテな武蔵君いいぞ~。順調に新しい扉を開いていってくれ~~~~(^ω^)

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