森でハイスぺな空君×森でクソザコな紅

何の気なしにあつ森をネタにしてたら、いつの間にかちょっとした空紅が爆誕しちゃった。(天下の任⚫︎堂作品間借りして突拍子もない妄想しすぎなんよ)
素直で可愛い空君も好きだけど、血は争えないですねみたいな歪な部分があってもいいないいな〜。
*よく分からないあらすじ*

どうぶつの森無人島パックに降り立ち、経済を引っかき回そうとした紅さん。
しかし逆に森の支配者たぬきちに住宅ローンを組まされてしまい、ベルでの返済を求められる事になる。
ベルを持ち合わせていない紅は路頭に迷い、先住島民である弟の空に泣きつくのであった……。
ムカつくタヌキに謎通貨でのローンを組まされ、弟の家で厄介になり始めてしばらくが過ぎた。
空は島での生活がとても性に合っているらしく、朝早くから畑いじりに勤しんだり、そこら中を走り回って虫取りしたり魚釣りしたり、島の景観を整えたり、住人と交流を深めて物々交換したりと、とにかく毎日夏休みの小学生のようなエネルギー量で動いている。そして働かざる者食うべからずとばかりに、紅にも容赦なく仕事を振ってくる。居候している手前手伝わないわけにもいかず、紅は日々嫌々肉体労働させられているわけだ。
紅も人並み以上に体力はあるが、やりたくもない事を延々とやらされ続けるとなると大幅に燃費は悪くなる。さらに島に居るのは純真無垢な動物ばかり。種族が違うため色仕掛けが通じず、突っつき回そうとしてもとぼけた反応が返ってくるのみで、何もかもが自分のペースに持ち込めなくてイライラする。自分はもっとズルく賢く享楽的に生きていたい。お日様の下で汗水垂らして真っ当に生きるのはどうも苦手なのだ。
「ああぁ~~~……もう疲れたぁ……全身バッキバキ……!!」
本日もへとへとに疲れ果てた紅が、シャワー終わりの濡れ髪のまま勢いよくベッドに沈み込んだ。程よく反発するマットレスと、ひんやり冷たいシーツの温度が、湯上りで火照った肌を受け止めてくれて気持ちいい。
「あはは、オヤジくさ~」
「うっせぇ!!」
そんな兄をからかいながら空が夕飯を運んでくる。先ほど釣り上げたばかりのスズキのバターソテーと、畑で取れた小麦粉から作ったパン、デザートのフルーツサラダがベッドサイドのテーブルに置かれた。食欲をそそる香りが鼻腔をくすぐる。
「へとへとになるまで活動して、美味しくご飯食べてぐっすり寝るって最高だと思うんだけどな~」
「俺の体は土いじりだの草むしりだののために出来てねぇの!! テメェと一緒にすんな!!」
ぶすくれながら紅が身を起こし、お行儀悪くもベッドに腰かけた状態で魚を口に運んだ。いつも夕飯はリビングで食べるのだが、さすがに今日はもう疲れた。お前のせいだぞ寝室まで運べと、元気いっぱいの弟に申しつけたのだ。
鼻に抜けるバターの香りに、ほろりと解ける白身魚。有難い事に空の味付けは自分の舌にも合うので、島生活においてかなりの癒しにはなっている。
「大体兄貴ってさ、色んな人の家にフラフラ遊びに行ったり居座ったりするの得意じゃん。何でよりにもよって身内相手にそんなに疲弊してんの? 普通逆じゃない?」
「俺が与えられる対価は労働じゃなくて俺という存在なんだよぉ……! 俺に性的魅力を感じてねぇ身内相手に対価提供すんのが一番キチィんだよぉ……!!」
「別に俺対価求めてないし。ちょっと作業手伝ってもらってるだけだよ」
「それが!! 対価!!」
今日だって何度手押し車で往復させられたか分からないし、中腰で畑作業し続けたせいで腰が痛い。そしてそれを口に出せば弟からはさわやかな笑顔で「老化だね」と返される。このクソガキがぶっ殺してやろうか。
そんなこんなで愚痴りながらも上げ膳据え膳で食事を済ませ、その後は髪を乾かすのも億劫でウトウトしていると、洗い物を済ませた空に風邪をひくよと注意された。それでも無視して寝転がっていると、ため息交じりにドライヤーをかけられた。髪を掻き混ぜる指の動きがマッサージのようで気持ちいい。こき使われるのは嫌いだが、こういう風に甘やかされて面倒を見られるのは好きだ。悪くない。だからこそ空の家で居候してやっているのだ。
湯冷めし始めていた頭がほこほこと温まり、ドライヤーの風が止むと、ややあってスプリングが軋んだ。重たい首をもたげれば、ベッドに乗り上げ照明を背にこちらを見下ろしている空の姿が目に映った。
「……何、寝んの?」
「うん。俺もここで寝ようかなって」
「え~何々~? お兄ちゃんと一緒に寝たくなっちゃったんでちゅか~?」
自分のベッドがあるにも関わらず可愛い事を言い出す空に気分がよくなり、疲れも忘れてつい軽口が飛び出す紅。しかし頭を撫で回そうと手を伸ばせば、それに関してはやんわりとかわされ、肩透かしを食らう事になる。
「ねぇ兄貴、俺がローン全部立て替えてあげよっか」
次に弟の口から出たのは、思いもよらぬ提案だった。自分は撫でられるのを拒んだくせに、空の手のひらは紅の額に伸びてきて、前髪を払い、頬を包むように降りていく。愛情をもって相手に触れるような、思わせぶりな動きだった。
「その代わり、兄貴は兄貴の得意な対価を提供してくれればいいよ。畑仕事も、虫取りも、魚釣りもしなくていい」
「……え? お前自分が何言ってるか分かってんの?」
およそ空が言い出すような事だとは思えなくて、紅が怪訝そうな顔を見せる。もしかしたら言葉の解釈にズレが生じているのではないかとも思ったが、こちらを見下ろす表情と、頬を滑る手の動き、そしてこの体勢や空の態度から考えるに、恐らく互いの認識は噛み合っている。
そんな紅の脳内を肯定するように、空がにこりと笑みを浮かべた。
「うん、分かってるよ。兄貴は愛玩されるのが得意なんでしょ?」
その瞳には愛情と、どこか歪な優越感が滲んでいるように見える。
「だから俺のペットにしてあげる」
口から吐かれる言葉の何もかもが、自分の知っている弟のものではなかった。

お兄ちゃんにマウント取れる優越を感じたいんだろうなぁ。