小説

嫁の事が大切だけど男性宿泊客とのキメセクもやめられない旅館館主さんのお話。

letm_official
R18/モブ×守屋千尋

2019年10月にpixivに投稿したものです。若かりし頃の千尋さんが、和服姿で宿泊客にエッチなおもてなしをします。♡喘ぎ淫語満載。媚薬でトロットロなおまんこを、焦らしていじめてホジホジされちゃう、ドスケベ発情キメセクです。

「今回も出来てへんかった……」
 沈痛な面持ちで手洗い場から出て来た明は、開口一番、帳簿をつけていた千尋に向かってそう言った。手には陰性の妊娠検査薬が握られている。
 重たい空気をしょいこむ妻に対し、一方の千尋は軽い調子で「そぉか」と、一言。それ以上何か言う事もなく、事務仕事に戻った。
「ああもう。毎回生理遅れる度に期待して叩き落とされる、アタシの気持ちはどうしたらいいんよぉ……」
「残念やったなぁ。ま、これで終わりなワケじゃなし、また次頑張ればええて」
「今回負けたけど次の大会こそは勝つぞみたいな、なんかこう、部活動みたいなノリやめて!」
「うまいなそれ。そう考えとけば気ィ楽になるんちゃう?」
 パソコンから目線を離さぬまま、くつくつと笑いを零す千尋。自分とは若干テンションの差がある様子に唇を尖らせながら、明が向かいに腰を下ろす。
「あんたいっつもあんま残念そうじゃないよな? ほんまに子供欲しいん?」
「勿論俺かて子供欲しいけど、そんなん授かりもんやろ。ご縁モンやろ。散々やれる事して出来ひんのなら、もう気ぃ立たせててもしゃあないやんか」
「せやけど……でもぉ……」
 髪を掻き混ぜつつ、複雑な胸中を言語化できぬままに明が項垂れていく。艶やかな黒髪が鳥巣のように絡まって、突っ伏すと同時に木目の上に広がった。一回一回そんなに気に病んでいては、さぞ疲れてしまうだろうな、と、視界の端で妻の様子を捉えながら考える。
「大体、そんな風にキリキリしてる母親の腹ン中なんて子供も来たないやろ。もーちょい気楽に……」
 千尋としては、明を責めるつもりなどなく、むしろ少し肩の力を抜かせられればと思って何の気なしに口にした言葉だった。しかし、それがものの見事に彼女の地雷を踏み抜いてしまったらしい。バンッ!! 机を引っ叩く音が部屋に響いた。
「はぁっ!? そんな言い方ある!? 言うていい事と悪い事があるやろ!?」
「は? なにいきなりキレてんねん」
「自分が今言うた事のせいやトボけんなやっ!!」
 突然の事に驚いている千尋の事などお構いなしで、眦を吊り上げた明が続ける。
「大体アタシがこんな真剣に悩んでんのに、アンタは気にするなだのそのうち出来るだの、毎回まともに聞いてもくれへんやん!! 心の底では子供なんて欲しくないと思ってるんちゃうんか!? そうやわなぁ!! あたしが妊娠したら働かせる人手が減って困るもんなぁっ!! あんたがそんなやから子供出来ひんねんっ!!」
「……あ゛? 言うていい事と悪い事分かってへんのはどっちやねん。もっぺん同じ事言ってみろや」
 夫の声があからさまに凄んだのを感じたのか、明は一瞬息を詰まらせた。しかし、一度昂ってしまった感情は、そう簡単に落ち着かせられるものではなかった。
「何回でも言うてやるわっ!! あんたが! そんなんやから! 子供出来ひんって言うてるんや!! あんたがっ、ほんとは子供なんて欲しくないって、思ってるからっ! どうせあたしの事なんて、人手くらいにしか思ってへんからっ……!!」
 最初は勢いが良かったものの、次第に弱弱しくなっていき、最後には声を引きつらせて涙を零し始める明。ぐずっ、ぐずっ。鼻をすする音が響く中、少しの間を開けて、千尋の溜息が落ちた。
「お前、ほんまにそう思ってるんか? ……じゃあもうええわ、それで」
 静かに、突き放すように放たれた言葉は、声を荒げられるよりもよっぽど重く心に伸し掛かった。内臓をぎゅっと掴まれるような感覚に襲われて、しかしそれを振り払うように鋭く酸素を吸いこむ。
「っ~~~~~!! こっちこそもうええわっ!! アンタなんか大ッ嫌いやっっ!!!!」
 今日一番の大声で怒鳴りつけ、千尋の反応は待たずにその場を後にする明。遠ざかる足音に、再度の溜息の音が重なった。
 
 ◆
 
 その日の夜。
「あっはっは! そっかぁ~。奥さんと喧嘩したかぁ~。だからいつにも増して愛想のない顔してるんだね」
 旅館を贔屓にしてくれる馴染客の宿泊があったため、館主として挨拶に出向いた所、客の男に表情が浮かない事を指摘された。そして一部始終を話した後の反応が、前述のものである。
 夫婦喧嘩というものは、その瞬間当人たちは深刻であったとしても、大抵は惚気話の延長として話半分に聞かれてしまうものだ。犬も食わないとは言い得て妙。苦い顔をした千尋が、「笑いごとちゃいますよ」と若干の口ごたえを挟みつつ、男の杯に酒を注いだ。
「俺のせいにしてアイツの気が楽になるんやったら、別にええかと思て、ちょっとの事ならハイハイって聞いてたんですけど……今日のはなんか、さすがに頭にきてしもて……」
「今の言葉の前半を、直接奥さんに言ってあげればいいのに」
「まさか。こんなん、口に出した時点で恩着せがましなるだけです」
「そんな事まで考えてるの? 奥さん愛されてるねぇ」
 からからと、相も変わらず笑い声を零しつつ、男が酒を舐めた。
「まぁ、女の人は子供を産める年齢もあるからね。男と比べると、どうしても過敏になっちゃうよね」
「でもまだ二十代であそこまで焦るもんなんかなぁ……最近知り合いんトコがどんどん子供生まれてるさかい、余計気にしてしまうんかなぁ……」
 そこまで言って、千尋がはっとした様子を見せた。
「ああ、すみません。お客様の前でダラダラとしょーもない愚痴零してしもて」
 いくら馴染の客とはいえ、裏を返せば上得意様でもある相手にするべき話では無かったと思い直し、苦笑を浮かべつつ謝罪する。しかし男は別段気分を害した風もなく、むしろにこやかに笑いながら、徐に千尋の腰に手のひらを回してきた。
「大丈夫だよ。弱味見せてくれるの嬉しいし。しかしまだ二十代かぁ~。その年で旅館を切り盛りして、板場でもちゃんと修行して手に職つけて働いてるんだから、立派だよねぇ」
「はぁ、まぁ……旅館の方は、ほとんど嫁と仲居らに任せてしもてますけど……」
「それでも、こうやってお得意様が来たらお相手してるんでしょ? 感心だな~」
 体のラインを確かめるような手つきで、腰から尻にかけてが撫で回されている。少なからず性感を煽る刺激に千尋の肩が震え、それから身を寄せてくる男を制した。
「ちょお、いい加減こういうの止めてもろてええですか?」
「ふふっ。白々しい。こんなにボディソープのいい匂いさせてるクセに。抱かれる気満々なのがバレバレだよ」
 しかし男は構わず迫って来て、ついには千尋の顎を掴みながら表を寄せて来た。咄嗟に顔を背けても、耳に唇を押し付けられて湿った温度が張って来る。ナメクジのような舌で水音を立てて耳朶を舐られて、堪えきれずに熱っぽい吐息が零れてしまう。
「っふ……♡」
「ほら、今日も気持ちよくなれるお薬欲しいんでしょ? 強がってないでこっち向きなさい。素直になれば全部忘れさせてあげるから……♡」
 ぴちゃっ♡ くちゅっ♡ くぽっくぽっぐぽっ♡ 耳の穴にまで舌が侵入してきて、唾液を塗り込めながら抜き差しされる。脳味噌に響くいやらしい音を大音量で吹き込まれ、背筋が粟立つ。腰がびくびくと震えてしまう。
「ひっ♡ は、ぁっ♡ あぁ……♡♡」
「耳舐めだけでお目眼うるうるさせちゃうんだから♡ んちゅっ♡ お耳気持ちいいね♡ 敏感な穴のなか、舌ベロでぬぽぬぽぉってされるの腰にキちゃうよね♡」
 ぐぽっぐぽっぐぽっぐぽっ♡♡ 千尋の反応に気をよくした男が、さらに激しくピストンさせ始めた。
「ほらっ、ほらっ♡ お耳だけでこんなに気持ちいい♡ お薬飲んでちんぽで甘やかされたら、もっとも~っと気持ちよくなれるよぉ? いつも頑張ってる千尋さんの体、硬くてぶっとい雄ちんぽで甘やかしてあげる♡ だからキスしようね♡ 上手にお薬飲んでみよっか♡」
「ん♡ んっ……♡♡ だ、から♡ だめ、やってぇ……!♡」
 耳から繋がる、鼻の奥も喉の奥も、全部が過敏になってざわめいている感覚がある。舌が出入りする音も、男の声も呼吸音も、全てが思考を甘く蕩かしていく。唇を撫でながら力を込めて来る手のひらに逆らえず、結局、顔を正面に向けさせられてしまう千尋。口で表面的に拒絶しつつも、その実心も体も逆らい切れていない様子に目を細めた男が、錠剤を一粒口に咥えた。
 楽しくて気持ちいいセックスをお手伝いする薬。いわゆる媚薬の一種である。少し効き目が強いため一般には出回っていない代物だが、性風俗の業界に居る男にとって入手はそれほど難しいものではなかった。
「んんっ……♡」
 キスと同時に口内に押し込んで、舌を絡めながら唾液と共に喉奥へと流し込む。すぐに喉が上下に動き、大人しく嚥下した気配があった。男はもう一度目を細め、ご褒美だと言わんばかりに口内を激しく舐り倒す。上あごを擽って、鼻孔まで舌を伸ばし、舌を誘い出してちゅぽちゅぽと吸い付くベロフェラまで。手のひらもいつの間にか尻たぶを鷲掴みにしていて、ディープキスをしながらいやらしい手つきで双丘を揉みしだいている。割れ目の奥を露出させるように左右に手繰ったり、かと思えば肉を寄せ合わせたり、指先で撫でるようなタッチで丸みを擽ったり……。今から何をされるのかを身体に教え込んで、存分に発情を促してやった後、唇を解放した。
「はー♡ はー……♡ あぁ……♡」
(あぁ……今日も、飲んでしもたぁ……♡)
 早くも体の奥から燻るものを感じながら、頭の片隅で甘ったるい罪悪感を噛みしめる。
 誰に強制されているわけでもない。やろうと思えばいくらでも拒否する事は出来るのに、それでもこの男が泊まる度に部屋に足を運んでいるのも、密かに期待して風呂を済ませてめかし込んでいるのも、大して抵抗もせず薬を飲まされているのも、結局全て自分自身だ。でも完全に自分から求めてしまってはそれこそ言い訳できなくなる気がして、口先でほんの少しの抵抗感を示す事で、何とか心中の逃げ道を取り繕っている。
 そうまでしてでも味わいたくなるくらい、この男から与えられる非現実は強烈で、官能的なのだ。
「すぐ効いてくるからね。エッチな所沢山見せていいんだよ♡」
 機嫌よく笑った男が、唾液濡れになった千尋の唇を指の腹で拭き取りつつ、羽織を脱がせて帯を寛げる。
「僕の予約が入って、今日一日どんな気分で仕事してたの? ちんぽとお尻きゅんきゅんってさせながら、夜のセックス心待ちにして仕事してた?」
「そ、そんなん、してな……♡」
「あ。その通りですって声してる♡ 僕の事、体で覚えてくれてるみたいで嬉しいなぁ♡」
 着物の合わせ目を左右に開き、暴かれた内腿に強引に手のひらを忍ばせる。柔らかさこそないもののしっとりと皮膚が吸い付いてきて、これはこれで悪く無い触り心地だ。上下に何度か撫で擦ってやると、先を強請るように腿が左右に開いていった。
「は、ぁ……♡ あっ♡ ぁ……♡♡」
 小さく喘ぐ千尋の、股の間にすかさず体を割り込ませ、さらに深く体を開かせていく。唇で首筋を辿り、鎖骨に唾液を擦り込んで、さらに舌を下ろしていき、慎ましい形の乳首をねっとりと舐め上げた。
「んっ、ぅ、うぅ♡♡ んん、ふうぅ……♡♡」
「ここも随分感じるようになったね♡ 最初はお薬入っててもイマイチだったのに」
 回を重ねるごとに感度の良くなる乳首を褒めるように、唾液をたっぷり絡めた舌でナデナデと。恥ずかしく勃起した乳頭を上下左右にしごかれて、ぞくぞくと腰元に溜まっていく熱のせいで、下半身を男の体に擦り寄せてしまう。
「ぁ♡ やだ♡ やぁ♡ かまれるの、やだっ……♡♡」
「おっ……ちんぽすっげぇ硬くなった♡ 千尋さんのヤダ、は、もっとして♡ って事だもんね♡ そっかぁ♡ おっぱい噛み噛みされるの好きなんだね~♡」
 僅かばかり歯を立てた状態で、周囲の柔い皮膚ごと吸い上げられた刺激に、股の間でペニスが激しく自己主張する。そんな体の変化は、内腿から股間にかけてをしつこく撫で回している男には筒抜けだった。ここぞとばかりに、歯を立てつつのおっぱいしゃぶりを繰り返しながら、肉竿を揉みしだく愛撫が加えられる。
「ひっ♡ ひんっ♡ んぅぅ♡♡ ちくびっ、やら♡ あぁ♡ おっぱい、だめえぇ……♡♡」
「あ~いいねぇ♡ その喘ぎ方すっごいちんぽにクるな~♡ おっぱいダメなの? 男のくせにおっぱいが気持ちよくておまんこまでウズウズってしちゃうからダメなんだぁ?♡ お股開いてちんぽ欲しがっちゃいそうになるんでしょ~?♡」
「っ、へ、へんな、いいかたっ♡ せんといてくださ♡♡ あ♡ あぁっ♡ あはあぁっ♡♡」
 ちゅぱっちゅぱっちゅぱっ♡♡ ちゅっぽん♡ ちゅっぽん♡ ちゅっぽんっ♡♡ 音を立てながら乳首を吸い上げられて、強い刺激に背中と首が仰け反ってしまう。さらに男の言葉通りに股が開いていき、腰が揺れ……不安定な体勢で自重を支えきれなくなった千尋が、とさりと仰向けに倒れ込んだ。
「ああ、力入らなくなってきちゃったね♡ もうどうにでもして下さいって感じで可愛い♡ そのまま足開いてなよ……」
 今まで手のひらが這っていた内腿に、濡れた感触が吸い付いて、それが唇だと理解するのに時間がかからなかった。恥ずかしい部分に顔を埋められているというのに、羞恥心が快感と興奮に押し負けて、熱っぽくて重たい頭が判断力を鈍らせて、黙って愛撫を受け入れてしまう。
「もしかして赤ちゃん出来る日以外あんまりセックスしてない? ちんぽにムラムラ溜まってるでしょ? 恥ずかしいエッチな匂いがぷんぷんしてるよ♡」
「ちが……♡ これ、薬のせいでぇ……♡」
「それでも今だけでこんな風にはならないよ~♡ 下着しっとりさせちゃって……♡ どうせ部屋に来る前から期待してムラつかせてたんでしょ、このスケベ♡」
 男の言う通り、汗と我慢汁とで湿り気を帯びた下着がずり下ろされる。閉じ込められていた性臭が一層むわりと立ち上り、下着との間に粘液の糸を結びながら完勃ちしたペニスが顔を覗かせた。外気に触れるだけでひくひくと戦慄いて、新たな先走り汁を滲ませるソレは、興奮してどうしようもない体の状態を如実に表している。
「ああ、すっごい敏感そうなすけべちんぽ♡ ザーメンぱんぱんに詰めてるのバレバレで恥ずかしいね♡ こんなの舐められたらどうなっちゃうかなぁ~?♡」
 男が口を開いて先端を咥えるジェスチャーをするだけで、生ぬるい呼気が亀頭を包み込み、疼いて堪らないペニスが切なく期待を募らせた。しかし、素直に口内へと迎え入れられる事はなく、ふぅっと息を吹きかけられたり、触れるか触れないかの位置で見せつけるように舌を動かされたり……♡ あまりのもどかしさに千尋の胸が激しく上下して、興奮しすぎて雫に納まりきらない我慢汁がとろりと竿を伝っていった。
「っ~~~♡♡ もぉそれ堪忍してえぇ……っ♡♡」
「ん」
 痛い程に竿全体を蝕む熱に耐え切れず、とうとう腰を突き出してへこへこと揺すりたててしまう千尋。男は一瞬驚いた様子であったが、何も無い場所に向けて勃起したペニスを突き出す不格好な様子に笑みを零し、先端を一舐めしてやった。
「ひうぅぅっ!♡♡♡」
 たった一度舌面を擦り付けられるだけで、ペニスどころか腰から頭までにびりびりと快感が駆け抜けた。そのまま亀頭を弾くように尖った舌先が往復し、熱と滑りを帯びた質量が敏感な部分を行き来する快感のせいで、下腹部が浮き上がったまま戻らない。
(ぬるぬるしてきもちいい♡♡ さきっぽ虐められんのきもちいいっ♡♡ あかん♡ これあかん♡♡ ちんぽ全体びくびくして止まらへん♡♡ これだけでイけそぉ♡♡ きもちいいきもちいいきもちいいぃ♡♡♡)
 男の舌先に媚びるように、快感を求めた腰がくねって揺れ動く。亀頭を舌責めされるだけで何も考えられなくなってしまう程の劣情と、絶頂への期待がありありと見て取れる痴態だった。
「ちょっと舐めただけで雁首の傘開き切っちゃったね……♡ 先っぽも充血して真っ赤っか♡ アクメの事しか考えてないガッチガチエロちんぽだ♡ イきたいでしょ?」
 人差し指で、唾液まみれになった亀頭に円を描きながら男が問う。もはやその動きすらも堪らない快感として受け取っている千尋が、がくがくと首を上下に振りたくった。しかしそれだけで納得するような男ではない。
「ウンウンってされるだけじゃ分かんないよ♡ おちんぽイきたいです、でしょ?」
「っ♡ お、おちんぽぉ♡ おちんぽ、イきたいです……!♡♡」
 次は、とんとん、と、指先で亀頭を宥めながら。
「おちんぽミルク溜まりすぎて変になっちゃいそう♡」
「ん♡ おちんぽみるく♡ たまりすぎて♡ ぁ♡ へんに、なっちゃいそぉ♡♡」
 裏筋を、下から上にぴんっ、ぴんっ、となぞり上げて、内側を渦巻く精液を自覚させて。
「どすけべちんぽでミルク搾りアクメさせて下さい♡ って、腰振りながらドーゾ♡」
「ひ、っく♡ どすけべちんぽでっ♡ あぁっ♡ みるくしぼりアクメさせてくだひゃいぃ♡♡」
 かくっ♡ かくっ♡ 男の指先に、自ら裏筋を擦りつけるように腰を振り、快感を貪ってしまう。下品な事を言わされるのも、どんどん感度が増していく体を弄ばれるのも、どうしようもない快感だった。
「あははっ♡ そんなエロいおねだりされると、もっともっとスケベちんぽにしたくなっちゃうなぁ♡」
 ひとしきり言葉責めで弄んで、オネダリの内容を叶えることもしないまま、男が新たに取り出したのはオナホール。たっぷりとローションを纏わせたそれを、迷うことなく千尋のペニスに宛がって、一気にずるんと根本まで扱き下した。
「ッんんん゛!!♡♡♡」
 焦れきった肉棒がぬるぬるした柔らかさに包まれて、一瞬暴発しそうになるもあと一歩の所でイき損ねてしまう。にたにたと笑う男の手が、オナホールを握っては緩め握っては緩め、緩慢な刺激を送り込むと、ペニスがもどかしい快感を受け取って血管を脈打たせ、白っぽいカウパー液をとろとろ垂れ流した。
(だめだめだめ♡♡ 腰ゆれてしまう♡♡ 見られてるのに♡ こんなんはずかしいのに♡ 恥ずかしいのにきもちいぃ♡♡ オナホ相手に腰振るの、止められへんよおぉ♡♡)
 すっかり薬が回って発情した体は言う事を聞かなくて、本能のままに腰を突き上げて疑似セックスに興じてしまう。
「子供作りたいくせに、ニセモノまんこにちんぽ突っ込んで腰振って♡ 非生産的なダメちんぽだなぁ♡」
「やら♡ やあぁ♡♡ いわへん、といてえっ♡♡ っくうぅ♡♡ いまそれいわれるのやあぁ……♡♡」
「ああ、ごめんごめん♡ 今だけは子作りの事忘れたいよね♡ ただ気持ちいいだけのセックスしょうね~♡」
 男はそう言うと、もう一方の手にもローションを纏わせた。無防備になった股の間、割れ目の奥でヒクつく窄まりへと、いよいよ指先を埋めていく。
「っ……~~~♡♡」
 雄に犯される事を期待してしまっている体は、媚薬の効果も手伝って、驚く程素直に指を迎え入れた。
「ほぉら♡ 大好きな前立腺♡ ここ揉まれると、ちんぽの根元から先っちょまでビンビンくるでしょ?♡」
「んんっ♡ すき♡ そこすきっ♡♡ きもひいぃ♡♡ ひうぅっ♡♡ はらんなかきもちいいっ♡♡」
 媚薬の効果で腫れぼったくなっている前立腺を、武骨な二本の指で挟み込まれて捏ね繰られ、さらに期待を煽られてしまう。ローションと腸液をねっちょりと纏わせながら丹念に揉み解したかと思えば、指先で弱振動を与えるように小刻みに擽って、そうやって過敏さに拍車をかけた後、奥まで抜き差しする度にコリコリシコシコと引っかける。弱い場所を徹底的に責める愛撫に、オナホールを突き上げる腰の動きもどんどん早まっていってしまう。
「もぉいくっ♡♡ これぜったいいくうぅっ!♡♡ まんこきもちいのっ♡♡ オナホも指もぜんぶきもちいぃ゛ッ♡♡ いくっ♡ いぐぅうっ♡♡」
 脳内を火花が散るような快感に、絶頂を予感した千尋が激しく尻をゆすりたてる。激しい突き上げのせいで、オナホールからはぶっちゅぶっちゅと淫音が鳴り響き、腸壁は男の指を食いちぎらんばかりに締め付けている。
「ああ゛ぁ゛ッ!?♡♡」
 しかし、次の瞬間オナホールがペニスから抜き取られ、胎内の指もぴたりと動きを止めてしまう。突如快感の波から放り出された千尋の全身ががくがくと突っ張って、やり場のない射精感を持て余したペニスが痙攣を繰り返す。
 おちんちんもおまんこも気持ちよくて仕方ないの♡ アクメする事しか頭にありません♡ そんな切羽詰まった痴態はなかなか下半身にクるものがあったが、ここでイかせてしまうのはあまりに勿体ない。
「はあっ……♡ はあぁ……なん、でぇ……っ♡」
「何でって、折角男とセックスしてるんだから、イくときはちんぽでお尻まんこ穿られてトコロテンしないと~♡」
 我慢汁とローションでとろとろに濡れそぼったペニスを、男の指先が包み込んで上下にちゅこちゅこと弄ぶ。絶頂を取り上げられて過敏になった肉竿が、非難がましく打ち震えた。
「ほら♡ こぉんなモロ感ちんぽになってるんだから、おまんこズコズコってされながらイったら気持ちいいよ♡」
「っ♡ それっ♡ それキく♡♡ もっとちゃんと握って扱いて♡♡ おねがぃ♡ あぁぁ……♡♡ いっかい、イきたいぃ……♡♡」
「だーめ♡」
 擽るような動きで亀頭を撫でてから、鈴口を指先で往復し、粘液の糸を引きながら離れていく。もっと刺激を欲しがる先端の割れ目が、オネダリするかのようにくぱくぱと口を開いて赤くなった粘膜を見せつけた。いかにも敏感そうに泣き濡れているソコに、男のパンパンに張り詰めた亀頭が伸し掛かる。
「んんんっ!♡♡♡」
「ほら、今から千尋さんを気持ちよくしてあげるちんぽだよ♡ ちんぽ同士でキスしてご挨拶しようね♡」
 むちゅむちゅと互いの亀頭を押しつぶしたり、上下左右に舐め回す様に動かしたり、我慢汁を混ぜくるような卑猥なおちんぽディープキスが繰り返される。射精感が引くか引かないかの絶妙のラインでいやらしい責めを続けられて、堪らなくなった千尋がぐいぐいと股を左右にくゆらせた。
「もぉ、焦らさへんといてっ♡♡ 早くちんぽイきたい♡♡ イかせて♡ イかせてぇっ♡♡」
 足を開いてはしたなくアクメを強請るその奥では、整えられたアナルがひくひくと空気を食んで男を誘いこんでいる。
「ちんぽイきたい、じゃないでしょ? 男のくせにちんぽ欲しがっちゃう悪いおまんこをヌポヌポってしておしおきメスイキさせて下さい♡ でしょ?」
 しかし、それだけでは足りないとばかりに、目元をぎらつかせた男がさらに要望を追加した。媚薬による酩酊感と、絶頂が得られないもどかしさ、体中を渦巻く熱に犯されて、もはやまともに物が考えられなくなっている千尋は、この程度ならなんの抵抗も無く口にしてしまう。
「男のくせにぃっ、ちんぽほしがる悪いおまんこ♡♡ っひ♡ ぬぽぬぽって穿ってほしぃ♡ ちんぽっ♡ ちんぽできもちくなりたい♡ おしおきめすいき欲しい♡♡ あぁ……♡ はやくめすいきさせてくらさいぃ……!♡♡」
 言葉通りどころか色をつけたオネダリで誘い込んで来る様に、男のペニスが脈打って興奮を露わにする。グズグズになった千尋をうつ伏せで寝かせ直すと、間髪入れず、反り返った剛直でぬかるみを捉えた。
「ぉッ♡ あ♡ あッ♡ あぁぁ゛あ゛~~~~~!!♡♡♡」
 そのまま一気に最奥まで侵入する質量に、千尋から悦びの声が上がる。媚薬の効果で潤んで綻み、さらに前立腺責めで気持ちよく解されてしまったアナルはもはやおまんこ同然。赤黒く怒張した性欲満タンおちんぽも、易々と根本まで食い締める事が出来た。
「っ、相変わらず、上手におちんぽしゃぶるメス穴だ♡ ちんぽハメ大好きなスキモノまんこっ♡ 今からガン掘りして可愛がってあげるからねぇっ!♡♡」
「ひぐうぅッ!♡♡」
 一度ギリギリまで引き抜いて、それから力強く杭打ちするハードな突き上げを刻みこみ、とことん雌穴の立場を自覚させる男。それを皮切りに、腹奥を舐め回すようなピストンが開始された。
「ぁっ♡ んん゛っ♡♡ あっ♡ あ゛っ♡ あっ、あっ、あぁあ゛っ♡♡♡」
 マスターベーションや、男としてのセックスでは絶対に刺激されない体の奥の弱くて柔らかくて敏感な部分。そこを雄の象徴で無遠慮にズコズコと犯されてしまえば、もうこのおちんちんには逆らえませんと体がメス屈伏してしまう。肉棒で体の内側から言いなりにさせられるような被征服感、男の体温に伸しかかられる被虐心、そして下腹部に留まるいやらしいむず痒さを、力強く穿っては掻き出してくれるようなおちんぽ使い。全ての刺激に、脳味噌が蕩け落ちそうな気持ち良さと幸福を感じて堪らない。
「ああぁっ♡♡ まんこされんのひゅきっ♡♡ ちんぽでガンガン突かれんのすきぃっ!♡♡ あ゛っ♡ お゛っ♡ おぉ゛お゛ッ♡♡」
「うんうん、知ってるよ♡ 千尋さんは、本当~は、おまんこをちんぽで甘やかされるセックスが一番好きなんだよね♡ だからこうやってキメセクでお客さんのちんぽ喰いまくるの止められないんだよね~♡」
「んっ♡ ん゛んっ♡ きめせく、すきらのおぉ♡♡ ごめんなさ♡ ごめんらさいっ♡♡ ちんぽハメられんのやめられへんくて、ごめんらひゃいぃ……!♡♡♡」
「ん? もしかして奥さんに謝ってる? 律儀で可愛いなぁ~♡ 大丈夫だよ~♡ 男に抱かれるのは浮気のうちに入らないから♡ これはただの接待♡ お客様にちょっとエッチで気持ちいいサービスしてるだけだよ♡ だから何も気にしないでぶっ飛ぼうね♡」
 耳元で甘言を吹き込まれ、元々バカになっていた思考にさらにピンクの靄がかかっていく。ああそうか。これは罪悪感を抱く必要のない事なんだ。仕事をしてるだけ。ご贔屓さんに気持ちよく過ごしてもらっているだけ。ただそれだけ。だから何も考えなくていい。思いっきり気持ちよくなっておちんちんの熱さだけを感じてしまってもいいんだ。そうやって心が緩んだ隙を見計らうように、亀頭が行き止まりを突き上げた。
「ッひいぃ゛ん!♡♡ おぐっ♡ おくきてるっ♡ はらのおくコツコツってあたってるう゛ッ!♡♡ ちんぽあったかくてきもちいぃっ♡♡ お゛ッ♡ お゛ッ♡ おお゛ッ♡♡」
「はぁっ♡ まんこもアツアツトロットロで気持ちいいよ♡ 奥のコツコツする所も気持ちいいね♡ 子宮口にちんぽでキスされるの気持ちいいよねぇっ?♡」
「ん゛っ♡ うん♡ おぉ゛っ♡♡ しきゅーこお♡♡ ちんぽされんのきもひいぃ゛い!♡♡ あはあ゛ぁあ♡♡♡ それひゅきいぃ……!!♡♡」
 ぬぼっぶぽっぷぼっぷぼっぷぼっ♡♡ ばちゅんばちゅんばちゅんばちゅんばちゅんっ♡♡♡ ピストン運動が激しくなるリズムと共に、快感のみを噛みしめる喘ぎ声が木霊する。結腸の入り口に怒張した亀頭が吸い付いては離れ、吸い付いては離れ、まるでソコを本当に子宮口に作り変えるような動きで千尋を追い詰めていく。
「そらっ! もっと奥まで入らせなさいっ!♡ まんこ開けっ♡♡ ドスケベまんこもっと奥まで開けるだろう!?♡ ほらっ! ほらっ! カマトトぶってないで奥の口でもちんぽ欲しがりなさいっ!♡♡ ちゅぱちゅぱってちんぽ乞いするんだっ!♡♡」
 性欲を剥き出しにした男が、千尋の腕を引っ手繰り、手綱のように自分のほうへと引き寄せた。不安定な体勢で、さらに奥を穿ちたいという身勝手な雄優位のピストンをされているというのに、自分を気持ちよく侵してくれるおちんぽに命令されてしまえば、結腸口は健気に口を開き出す。ぶちゅんっ♡ ぶちゅんっ♡ いっとう弱い部分に亀頭が侵入しそうな気配に、千尋の背筋をびりびりと電流が走り抜けた。
「あぁあ゛あ゛ッ♡♡♡ だっ、だめだめらめえぇ゛っ♡♡♡ まんこいくっ♡ こんどこそいぐっ!♡♡ あ゛っ♡ あぐっ♡♡ ああぁ゛あ゛ッ!!♡♡ んおおぉ゛ぉぉお゛お゛っ――……~~~~~!!♡♡♡」
 耐え難い快感の波に飲み込まれ、念願の射精とおまんこアクメを決める千尋。しかし、同時絶頂で打ち震える間も、男の激しいピストンは止まらない。
「はあっ!♡ はあっ!♡ スケベなトコロテンアクメしてっ!♡♡ 子宮口口説かれるのそんなに気持ちいいかっ!?♡ そぉら♡ まんこイきでヤラシーお口がもっと柔らかくなってる♡ 入るよっ♡ 入っちゃうぞおっ♡♡」
「んひい゛ぃぃいいっ……!!♡♡」
 宣言通り、緩んだ結腸口に張り詰めた先端が入り込む。雁首の段差が、肉輪を舐め回しながらの出入りを繰り返す。
「お゛ぉっ♡♡ お゛ッ♡ お゛♡ おぉ゛っ♡♡ そえっ♡ それキくろぉっ♡♡ いまらめっ♡ まんこおかしくなるう゛っ♡♡ お゛っ♡ あ゛ぁ゛あッ♡♡ まんここわれひゃううぅッ!♡♡♡」
「何を今更っ♡ もっともっとダメまんこにしてあげるよっ♡♡ 今日も中出しするからねっ♡♡ 種付けちんぽの動きっ、シッカリ感じるんだよっ♡ ちんぽミルクの味覚えるんだぞっ!♡♡」
 抽挿が種付けを予感させるものとなり、肉がぶつかる音が部屋中に響き渡る。肉棒に串刺しにされ、腕を取られて拘束されて、連続アクメから逃げる事も出来ない千尋はせめて腰をくねらせて快感を散らそうとするのだが、男がそれを許さない。千尋の腕を背中に回して片手でまとめたかと思うと、空いた手で頭を床に押し付けて、さらに自身の体重を乗せながら覆い被さって、ほぼ身動きがとれない状態へと持って行ってしまう。
「これ好きでしょっ?♡ 千尋さんはマゾだからさぁっ!♡ 全っ然体動かせないまんまっ♡ 強制種付けされるの大好きだよねぇっ!♡♡」
「っ!♡ ぁ♡ ちがあ゛ぁ゛ッ♡♡ すきやないっ♡♡ ひゅきや、ないのにい゛っ♡ あ゛ぁっ♡♡ こんなん、やらのにぃい゛♡♡」
「ウソはダメだなぁ~~~♡ こんなにぎゅうぎゅう締め付けてくるくせにっ♡♡ 悪~い嘘つきまんこは、雄ちんぽがシッカリ種付け調教してあげなきゃねっ♡♡ あ~~~イくよイくよっ♡♡ ちんぽ汁出すよっ♡♡ 中出しするぞおっ……!♡♡」
 どちゅんっ!♡♡ 男がぴったりと腰を押し付けた瞬間、いよいよ尿道口から黄ばみザーメンが迸る。
「お゛っ!♡ お゛ッ♡ おお゛ぉぉ゛お゛~~~~ッ♡♡♡ なからしっ♡♡ なからしひゅごいのおぉ゛ッ♡♡ あ゛~~~♡♡ あぁ゛あ゛~~~ッ♡♡♡ ちんぽれてるっ♡♡ ちんぽみるくドクドクってきてるうぅッ♡♡ くひいぃ゛い゛……ッッ♡♡♡」
 徹底的に動きを封じられ、ペニスに穿られるだけとなった無防備おまんこが逆らえるはずもなく、体の一番奥に濃厚なおちんぽミルクを注がれてしまう。根本まで余すところなく男根を咥え込んだ胎内は、ポンプのように精液を押し出す竿の動きも、血管の脈拍も、ずっぽりと結腸にハメこまれた亀頭の熱も、ザーメンの勢いも、全てを余すところなく感じ取り、肉襞を絡みつかせて雄の種付けを悦んだ。
「はーッ♡ はーッ♡ あぁ、ちょっと零れちゃってる……勿体ないなぁ……♡ 全部擦り込んで俺のちんぽの匂い付けておかなきゃ……♡」
「っふ♡ あぁぁあ……♡♡ おまんこらめえぇ♡♡ いま、そんなのされたらあぁっ……♡ んくうぅ……♡♡」
 射精を終えて尚満足しない男が、腰を左右に捻って肉ヒダ一つ一つにザーメンを染み込ませる。長々としたメスイキ強制種付けで、すっかり男の肉棒に征服されてしまった千尋は、過ぎた快感に頬を茹らせ身悶えつつも、アクメ直後の敏感おまんこで大人しくその動きを受け止めるしかなかった。
「ふぅ~……♡ 出した出した♡」
 そうやって最後の最後まで膣内を虐め抜き、ようやく男がペニスを抜き取った。ぽっかり開いた恥穴からは泡立った精液が零れ落ち、その奥には、ちんぽに扱き回され、感じ切ってイきまくり、真っ赤に充血した粘膜が顔を覗かせている。
 赤く火照った肢体に乱れて纏わりつく仕立てのいい着物も、余韻に震える足袋に包まれた指先も、放心してしなだれる蕩けた表情も、全てが行為の残り香を匂わせて淫猥だ。眺めていると、ぴくんと、吐き出したばかりのペニスが膨らんできてしまう。
 自らの肉棒で丹念に解したおまんこを、一回使ったきりで手放すのも惜しい気がして、男は千尋の耳元に顔を寄せた。
「ねぇ、もう一回したくなっちゃったなぁ……どう?」
 白っぽく汚れままのペニスを尾てい骨の辺りに押し付けて、硬くなり始めたそれを知ら占めるように腰を振る。セックスの余韻も媚薬の効果も両方が尾を引いている体にそんな事をされたら、一瞬で情欲に火がついてしまうに決まっている。熱っぽい吐息を零しつつ、黙って尻を持ち上げる事で先を促す千尋に、男がいやらしく目元を細めた。
「じゃあ、遠慮なく♡」
 
 ◆
 
 一晩非現実に逃避して、思う存分気を抜いて、朝が来たらいつも通りの日常がそこにある。忙しなく従業員が行き来する旅館の一角で、千尋は昨晩の事など無かったかのように、明と顔をつき合わせていた。
「桔梗と紅葉のお客様、お夕飯遅めにってご連絡頂いたさかい、対応よろしくな。あと桜のお客様は、生モン食われへんて事やから別の膳を用意するし、こっちも間違えへんように頼むわ」
「うん、分かった」
 ただ、表面上は何の問題もなく言葉を交わしていても、昨日喧嘩して以降まともに口を利いていない。あるといえば今のような、最低限の業務連絡のみである。
 いまだしこりが残る空気の中、余計な事は口にせず、「じゃあ、よろしく」とその場を離れようとする千尋。こういう時は変につつき回すだけ逆効果で、向こうの機嫌が直るのを待つしかない事を知っているからだ。しかしそんな彼の袖口を、徐に明の指先が引っ掴んだ。
 驚いて振り返ると、そこには口を結びながら目線を落とす表情が。
「あのっ……昨日は、ごめん。子供出来ひんかったの残念で、悲しくて、気持ちが整理出来ひんくて……それで、千尋に当たってしもたの……ごめんなさい」
 素直でしおらしい事を言い、控えめに頭を下げて見せる明。それからちらりと、上目で夫の顔色にお伺いを立てる。
 ……そのうちほとぼりが冷める事とはいえ、ギクシャクしている期間が短いに越したことはないのだ。思いのほか早く明の側から終戦を切り出してくれた事にほっとして、千尋は目元を綻ばせた。
「別にええよ。俺も言い方悪かったわ」
「……うん」
 柔らかい言葉が返された事に安心したのだろう。強張っていた明の表情が幾分か解けていく。
「……その……上手く言えへんけど……ほんまに、あんま気にすんなや。子供欲しいのも分かるけど、そればっか気にして明が幸せやないのが俺は一番しんどいねん。女が笑っとけば、そのうち赤んぼも来てくれるさかいに。な」
「…………うん」
 さらに、瞳が潤み、もじもじと唇が擦り合わされて、それから堪らず口角が緩んで……嬉しそうな顔に変化していく明を見て、ああ、自分の意図が伝わってくれたらしいと安堵した。
「なぁ……たまに確変入ったみたいにそういう事言うんじゃなくて、普段からもっとあたしに優しくして」
「いや、あの……お前が気付かへんだけで、俺普段からまぁまぁ優しいで……?」
「あんたの優しさ分かりづらいねん! 今みたくストレートに言うてくれたら、そもそも昨日の喧嘩も必要無かったやん!」
「ほなお前かてストレートに、今グズってるんは俺に優しくして欲しいからですって言いや」
「言わへんわ!」
「じゃあ俺かて言うたらん。はい、仕事入るで」
 ぱんぱんと手を叩く音と共に、会話が打ち切られる。いささか不満気な雰囲気を残しつつ、それでも素直に千尋と並んで歩き出す明。
「なぁなぁ、今晩、子供作るとか一旦置いてフツーにシぃひん?」
「……あほかここで言うなや」
 その後こそりと耳打ちされた余計な一言に対しては、明言を避けた返事をしておいた。

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