小説

推しのファンアートを見ていたはずが、いつの間にか腐男子になっていました。

letm_official

「あッ♡ あ、あぁ♡ くれないひゃ♡ もぉ、イきそっ……♡ いくっ、いきそぉなの♡ イきたいぃぃ……ッ♡♡」
 ベッドルームには、滑り気たっぷりにペニスを扱く音と、俺の間抜けな喘ぎ声が響いていた。あの後始まったのは、頭の天辺から足の指先までくまなく愛されるような、甘々全身ペッティングサービス。俺を素っ裸に剥いてベッドに転がした紅さんは、耳も口内も首筋も腋も乳首もおへそも脇腹も足の付け根も足裏も、全部の気持ちいい場所を弱火でじっくり炙ってきた。そうやって俺の全身を性感帯に仕上げた所で、ローションヌルヌルちんぽコキを開始したのだ。
「ん~? イっちゃうの~? どーしよっかなぁ……♡」
 竿を握るというよりは、触れるか触れないかの力加減で指先がちんぽを上下する。射精寸前の感度になったソコにとってはその程度の刺激でも堪らない快感で、内腿がぶるぶると戦慄いてしまう。イきそう。イく。このまま、もうちょっと続けられたらっ……♡
「はい、だ~め♡」
「ッぅ……あ……!!♡♡」
 だけどそのタイミングを見透かしたように根本をぎゅっと握られて、行き場を無くした精液が内側で暴れて俺の事を苦しめる。射精寸止めの衝撃を受け止めきれず、お尻がフリフリと左右に揺れてしまう。さっきからずっとこの調子だ。ずっと焦らされて熱を溜め込まされて、一番気持ちいい瞬間を味わわせて貰えない。
「あは……ユキちゃんかわいー……♡ お尻の穴までヒクヒクしてんじゃ~ん……♡ ほらほら、紅さんの事抱きてぇんだろ? ならおまんこの気分になるの我慢しような~♡」
「ん♡ ひっ♡ あ、ぁ♡ だって♡ だって、こんなぁッ……♡♡」
 耳元で吹き込まれる吐息交じりの囁きが、寸止めちんぽをより一層苦しめる。真っ赤に充血した先端を、紅さんの指先がトントントンッ♡ とタップする。すると尿道に振動と快感が響き渡り、イけもしないのに竿全体が律動して甘い痺れに包まれた。絶頂感というにはあまりに程遠い、生殺しのような快楽が股間を支配している。
「ほらが~ま~ん♡ ガッチガチのカッコイ~イちんぽで俺の事雌にする下準備だぜ~♡ 頑張れ頑張れ♡」
 うっとりと俺を見下ろしながら意地悪する紅さんは、シャワーを終えたばかりの柔らかいバスローブ姿。今はその耳元にも指先にもゴツゴツとしたアクセサリーは無く、煙草の匂いも香水の匂いも、ボディソープの優しい匂いで薄められている。いつものギラついた威圧感も鳴りを潜め、表情や声色までどこか甘ったるくて、その様子は男でありながらもはや優しくて綺麗でエッチなお姉さん。普段は絶対に見られないこの特別甘やかしモードの紅さんに、俺はまんまと興奮してしまうのだ。
 ぎしりとベッドが軋む。一旦身を起こした紅さんが俺の体を跨ぎ、ちんぽに剥き出しの内腿が触れた。滑らかな素肌に擽られたその瞬間、奥に思いっきり突きたてたい本能が一気に押し寄せて来て、腰をカクカク動かして紅さんの体を揺さぶってしまった。
「あんっ♡ もう、ハメてもねぇのにそんなに腰動かしてぇ♡ 可愛い顔してそういうトコ、ちゃ~んと雄なんだもんなぁユキちゃんは♡」
 俺の動きを抑え込むように体重をかけた紅さんが、勃起猛々しいペニスを会陰に押し付け腰を前後に動かし始めた。バスローブに隠れてちょうど見えない部分から、クチクチヌチヌチ粘着質な音が響いてくる。しっとりとした肌で素股コキされる寸止めちんぽ。動きにあわせてさらさらと揺れる赤い髪。薄暗い部屋で見上げる、ほんのり頬を上気させた紅さん。その顔を俺の手でもっと真っ赤に染めたくて、目を潤まさせたくて、何とか腰を動かそうとするのにがっちりとホールドしてくる紅さんの重みで持ち上がらない。
「あ~もう、めちゃくちゃ腰突き上げようとしてくるじゃん……♡ 力つっよ……♡」
 興奮を逃がすように一度息を吐いた紅さんが、空いている手を俺の乳首に伸ばしてくる。散々捏ねられて感度上々になったソコを、爪先が素早く往復する。
「ひっんん!!♡♡」
 途端胸から下腹部に電気が流れて、鼻から甲高い声が抜けていく。ゾクゾクゾクッ♡ きゅんっ、きゅんっ、きゅんっ♡♡ 押しつぶされている竿とお腹の奥が断続的に痙攣し、精液を吐き出せない苦しさで動物みたいに呼吸が浅くなる。
 紅さんの柔らかい部分がすぐそこにあるのに、腰をまともに動かせなくて、女の子みたいに感じさせられて、ちんぽは今すぐにでも暴発してしまいそうで、情けなくてみっともなくて興奮しすぎて苛立ちすら覚えた。きっとこんな俺の様子も表情も紅さんにとっては大好物で、見せれば見せるだけ火に油なのだと理解はしつつも、それをコントロール出来るほど俺は成熟していない。
「ほぉらぁ♡ ユキのちんちんがガッチガチのヌルッヌルなせいでぇ……♡ 俺のココまでまんこみてぇになっちゃった~……♡」
 腰を持ち上げた紅さんが、バスローブの前を思わせぶりに捲ってみせた。気持ち良さそうに完勃ちしているちんぽの奥で、会陰と俺の竿の間に、にゅぱあぁっ♡ と粘液の糸が結ばれる。創作物の中で見たような、だけどそれよりずっとリアルで卑猥な光景に目が釘付けになる。
(すごく濡れてる♡ 気持ち良さそうになってる♡ おまんこみたいになっちゃってるぅ……♡)
 性欲が圧倒的優位になってる俺は、さもソコに挿入できそうな気分になってきて、空いた隙間を埋めるように今度こそ腰を突き上げた。ぱちゅんっ♡ 肉同士を打ち付け合う音がして、紅さんが一瞬息を詰める。それからさらに腰を回し付けると、ふっくらした会陰に俺のちんぽが食い込む様子が見て取れた。
「っ、たく、節操ねぇなぁ♡ 残念そこに穴はありませんよ~?♡」
 がっつく俺のちんぽを握り直した紅さんが、さらに奥のお尻の方へと誘っていく。ちゅっと吸い付く濡れた粘膜の感触。女の人と違って自然とそうなるはずがないのに、すぐにでも入ってしまいそうなくらい綻んでいる穴を捉えている感覚がある。
(ぁ♡ あ……♡ 紅さん、俺のために……♡)
 にゅうぅ……♡ 少し腰を動かせば、亀頭が肉輪を押し広げて
(俺のために、準備してくれたんだぁっ……♡♡)
 にゅぷんっ♡ と、いとも容易く体内に迎え入れられる。破裂しそうな先端が、柔らかくて湿った粘膜に包み込まれている。カリ首が入り口にきゅんきゅんっと締め付けられる。
「……あ~……ははっ……♡ ユキのちんぽ、バカみたいに硬ェから……先っぽ入っちまったぁ……っ♡」
 潤んで光を返す瞳。少しだけ寄せられた眉根と、それに対して下がった眉尻。鼻にかかった息づかいと、小刻みに律動する下半身。そして何より、滑り気たっぷりの結合部を見せ付けるようなこの体勢……。
 ぷつんと理性の糸が切れる音がして、気付けば俺は紅さんのお尻を引っ掴んでいた。
「あ゛……ッ!!♡♡」
 ばちゅんっ!!♡♡ 腰を突き出すと今度こそ根本までちんぽが突き刺さり、紅さんの喉奥から潰れたような声が上がる。
 意地悪な前戯で焦らされたちんぽはもうとっくに限界を迎えていて、温かい肉筒の快感に抗えるはずもなかった。紅さんの事を気持ちよくしてあげたいと思う気持ちとは裏腹に、俺はもう何も考えられずに無我夢中で腰を突き上げて、ただ自分が射精するためだけのピストンを繰り返してしまう。
「あっ♡ すっげ♡ ッ猿みてぇな腰振り、すっげぇ燃える、けどっ♡ んっ♡ なぁ、いいのぉっ? もうちんぽイきそうになってんの分かっけどぉ……っ?♡」
「ごめんなさいっ♡ でも、こんなのっ♡ こんらのっ♡ こしっ、とまんなくてぇっ♡♡ ッ……いっかい、出しちゃうっ♡♡ すぐ出ちゃうう♡♡ ちんぽっ、我慢できなくてっ、ごめんなさいぃッ……♡♡」
 呼吸を喘がせながらにやにや見下ろしてくる表情が腹立たしい一方で、エッチで可愛くて堪らない。俺のために準備してくれたヌルヌルアツアツのおまんこが愛おし過ぎるし気持ち良すぎる。しつこく寸止めさせられたちんぽがやっと射精出来る悦びに包まれて、ビクンビクンビクンッ♡ と痙攣する。俺は絶頂感で頭を真っ白にしながら、本能のままに一際大きく奥を穿った。
「いッく……ううぅ゛ッ……~~~~~~!!♡」
 根本でぐるぐると渦巻いていた精液が射精管を搔き分ける。時間をかけた前戯で最高に興奮した状態での絶頂は、今までに感じた事がないくらいの快感だった。根本までぴったりと押し付けながら精液を吐き出す充足感。その上肉ヒダがざわざわと竿を擽ってきて、ちんぽが蕩けそうな官能に唇を噛み締めて浸りきってしまう。
「ひ、っうぅ♡♡ くれない、ひゃん♡ それっ、きもひいぃっ……♡♡」
 さらに射精も終盤になると、紅さんが腰を捻って絶頂途中のちんぽを押し揉みするものだから、ひんひんとみっともない声が鼻から抜けていく。シーツを握りしめながら足の指まで丸め込み、紅さんに馬乗りになられて搾精されている俺の姿は、傍から見ればどちらが抱かれているのか分からない状態だっただろう。
 射精が終わり、強張っていた全身の力が抜けていくと、温かい手のひらが頭に乗せられた。うっすらと瞼を持ち上げれば、とろんと目元を緩ませた表情が俺を見下ろしていた。
「……はぁ~ッ……♡ ユキちゃん、気持ち良かったな~……♡ あんなぺらっぺらの紙きれは、こ~んな事してくれないだろ~……?♡」
 にこにこと笑いながら優しく頭を撫でてくれる紅さん。思い通りに俺を即イキ種搾りさせてご満悦の様子だが、その頬はいまだに火照ったままで、お尻がもじもじと動いてしまっている。バスローブから覗くちんぽもひっそりと震えて涎を垂らし、体の方は全然満たされていないのが見るからに伝わってくる。
 紅さんは俺とエッチする時は基本的に、俺が気持ち良ければそれでいいと思ってくれているらしい。さらに言うと俺の事をドロドログズグズに感じさせて、みっともなく喘がせる事にこそ精神的な充足感を覚えているらしい。そして物足りない分はまた別の日に、俺は顔も知らないようなセフレと会って、俺には絶対見せてくれない雌顔でトロットロのおまんこセックスをして満たして貰うつもりなんだろう。
 こんな状態で終われない。ここで手放したら男じゃない。俺は紅さんに主導権を握られて子ども扱いされるだけのセックスがしたいわけじゃない。紅さんの心も体も全部気持ちよくしてあげて、初めて買ったあの同人誌みたいに満足させてあげるんだ!
「紅さん、まだ、抜かないで……♡」
「お?」
 すっかり終わる気でいる紅さんの腿に手を置いて、抜かれてしまわないように引き寄せる。腰を回してナカを掻き混ぜると、俺の出した精液がくっちょくっちょと音を立てる。
「んっ……♡ もう、ユキちゃん足んねぇのぉ……?♡ はいはい、ちょっと休~憩。あんまがっつくと女の子に嫌われんぞ~?」
「だって……♡ だって、紅さん♡ 全然、休憩したそうじゃないっ……♡」
 片手を太ももから撫で上げて、そっと竿を握り込む。すると一瞬息が詰まり、腸壁が分かりやすく収縮した。
「ちんぽこんなに硬くしてっ……おまんこだってアツアツトロトロでぇ……♡」
「っぁ、このっ……こっちが優しくしてりゃ調子のんなよー?」
「そんなにっ、エッチで♡ 気持ち良さそうな顔してぇっ♡」
「エロ本で鍛えた妄想力で補正かけんな! いっかい、ッ……抜け、ってぇ……!♡」
 ローション代わりの精液と、熱くぬかるんだ肉筒の具合に、すぐさま俺のちんぽは完全復活。それを感じて舌打ちした紅さんが、腰を持ち上げ離れようとする動きを、太ももを掴んだ手のひらにぐっと力を入れる事で押しとどめる。
「何で? 紅さんいつも俺のちんぽ使って好き勝手やるくせに、何で今はやらせてくれないんすか……?」
「俺の気分と、体調とっ……♡ その他、諸々の! 兼ね合いがあるんだよ、ぁ……!!♡」
 たちゅんっ♡ 軽く奥を突き上げると、下腹部から聞こえる湿った音。握ったちんぽをゆるゆると扱きながら、たんっ、たんっ、たんっ、と小刻みなピストンで腸壁を揺さぶる。すると喉奥で喘ぎ声が噛み殺されて、瞳が熱っぽく揺らめいた。俺のお腹に置かれた両手が、ぎゅっと握りこぶしを作っている。口角から堪えきれない荒い呼吸が聞こえてくる。
 お付き合いする中で徐々に見えてきた事がある。紅さんは筋金入りの格好つけで、計算づくでふざけたり馬鹿っぽい振る舞いをする事はあっても、意図せず無様な姿を晒す事を好まない。特に俺とのセックスなんて、全て自分の手のひらの上で転がして、リアクションも性感も何もかもを思い通りにコントロール出来る事に楽しさを見出している。
 きっと今日だって、俺を隅々まで気持ちよくして女の子みたいに喘がせて、セックステクで骨抜きにして「あー楽しかった」で終わらせるつもりだったのだろう。いつもされるがままで従順な俺が、こんな風に食い下がってくるのは予想外だったに違いない。
「ねぇ、紅さん♡ 気持ちいいなら、気持ちいいって、ちゃんと教えて欲しいんですっ……♡」
「…………」
「おれ、本で見るだけじゃなくて……本物のセックスで、紅さんのエッチな顔、見れるようになりたいのっ♡ お願い紅さん、いつまでも子ども扱いしないで教えてぇ……!♡」
 紅さんに視線を縋らせて一生懸命懇願すると、向こうも心揺らいだ様子があった。この人は結構俺に甘いのだと、それぐらいの自覚はもはやこちらにもある。可愛い恋人からのオネダリ。中途半端に燻る自分自身の体。そしてもう一ラウンドいけそうな雰囲気……。
 結局紅さんは観念したかのように溜息を吐き出して、汗で張り付く前髪を掻き上げた。
「……あーもう……わーったよ。分かりました~」
 俺の手首を掴んで上体を起こさせて、自分自身は後ろ側に体重をかける紅さん。すると上下関係が逆転し、仰向けの紅さんを俺が見下ろす形になる。
「じゃあ今日は特別にこっちの気分で抱かれてやっから……男見せろや」
 筆おろしされてからというもの、紅さんに弄ばれて好き勝手にやられるばかり。思えばこのアングルは初めてかもしれない。自分の下に好きな人を閉じ込めている体勢は、俺も男である以上どうしようもなく本能が満たされるものだった。喜びのあまり頬がゆるむ。紅さんの両脇に肘をついて顔を寄せると、薄暗さの中で縮む距離。より一層この人を俺のものにしている感覚が強くなった。
「嬉しい……紅さんありがとう……♡」
「あーはいはい可愛い可愛い。テメその顔面で大分許されてるトコあっからな~?」
 状況に諦めがついたらしく、軽口を叩く紅さんの唇にキスを落とす。熱が冷めてしまわぬよう、ゆるゆると腰を動かしながら角度を変えて押し付け合う。首の後ろに腕が回ってきて、催促するかのように咥えられる下唇。それを感じて舌を差し込んで、より深いキスに耽っていく。
「は……♡」
 一度唇を離すと高揚した顔がそこにあって、いつもの紅さんに遊ばれるだけのセックスじゃなくて本当の恋人同士みたいで、胸がドキドキ高鳴った。
「ねぇ、その……中、どういう風にすれば、気持ちいいです……?」
 くぽっ♡ くぽっ♡ くぽっ♡ 中出しでトロけた体内は、少しグラインドを深めるだけで卑猥な音を響かせる。ついつい何も考えずに腰を使いたくなる欲求をぐっと堪えて、紅さんの様子を観察しながら喜んでもらえる場所を探る。
「ん……♡ 割と、好きにやってくれりゃあ、何でも気持ちいいけど……っ♡」
 俺の動きにあわせて腰を浮かせ、紅さんが熱っぽい溜息を零した。
「そう、さねぇ……♡ ユキも喜ぶ、ちんぽの裏っかわんとこ……は……♡ そこ、分かりやすくて、気持ちいい……♡」
 いつものおどけた口調じゃなくて、紅さんの素の喋り方が嬉しい。教えて貰った場所を探るとしこった感覚があって、亀頭で押しつぶした瞬間下腹がぴくんと突き出された。呼応するようにちんぽも震えて、ぷくっと玉になった我慢汁が滲んでくる。自分の手で分かりやすく反応が返ってきた事に感動すら覚えた。嬉しくなって何度も、何度も、気持ちいい場所を押しつぶしてあげる。
「あ♡ ん、く♡ うぅッ……♡♡」
 カリ首の出っ張った所で往復すると特に反応が良くて、中の肉ヒダもねっとり絡みついてきてこっちまで気持ちいい。俺の動きに合わせて揺さぶられる紅さんの体。控えめにベッドが軋む音。くちょくちょぬちぬちという交接音に、鼻から抜ける喘ぎ声。もうこの時点で頭に血がのぼって仕方がない。鼻血が出るんじゃないかと心配になる。
「紅さん、おっぱいも、好き……?」
「ッ♡」
 調子に乗って乳首を優しく引っ掻いた途端、内壁が複雑にざわめいた。さっき教えて貰った通り、俺が気持ちいい場所はきっと紅さんも気持ちいいし、気持ちいい触り方だってそう大差はないはずだ。最初は軽めの刺激で乳頭を揺らして、尖ってきたら指の腹でつまむ。力を入れすぎないように注意しながら指先で捏ね回して、たまにキュッキュッと押しつぶす。すると大きく開いた紅さんの内腿が悩ましくくねり、シーツに頬が擦られた。
「っ……す、きぃ……♡」
 控えめに、だけど素直に快感を享受してくれている甘い声。何だこれ。やばい可愛すぎる。同人誌なんかもう比べ物にならない。というか皆様紅さんについて解釈違いをなさっているレベルだ。本物の方が数百倍、いや数万倍可愛い。
「ゆき……♡ さっきンとこ、ちんぽで、押しながら、ぁ♡ おく、もっ♡ 突いて欲しいぃ……♡♡」
 さらに紅さんの方から率先して気持ちいいやり方を教えてくれて、こんなの応えてあげないわけがない。入れる時も抜く時も、言われた通りの場所をしこらせながら奥にも亀頭を打ち付ける。
「ぁ♡ あっ♡ っ……きもちいぃ……♡♡ ん……じょーず、じょーずっ……♡」
 はっ、はっ、と、つままれた乳首の下で胸がせわしなく上下する。少しずつ快感が深くなっている様子が目に見えて分かって堪らなくて、またキスしたくなって顔を近づけた。そしたら向こうから口を開いて舌を覗かせてくれて、その仕草にも高揚感が煽られる。
「ん、ぁ♡ はぁっ♡ んむ、う♡ ん、ん♡」
 さっきよりもちょっとエッチに、突き出した舌を絡め合って性感を煽るキス。それと同時に乳首をこしゅこしゅシコシコ転がして、たちゅんっ♡ たちゅんっ♡ たちゅんっ♡ とリズミカルなピストン運動も。泡立ち始めた中出しザーメンがカリ首に掻き出されてこぼれ落ち、二人の間で糸を引く様子は本気で気持ちよくなってくれている女の子みたい。さらに、紅さんがもっとして欲しそうに腰をくいくい動かし始めたから、遠慮していた抜き差しを素早いものに変えてみる。ぐぽっ♡ ずぽっ♡ ぬぽっ♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡ 結合部から聞こえる淫音と、奥の方で亀頭に吸い付いては離れていく肉壁の動き……♡ 紅さんと深く繋がっている感覚が嬉しくて体温がまた一段階上昇し、鼻の頭を汗が伝い落ちた。
「はあぁっ……♡ 二回目なのに♡ 硬さ、すっげっ……♡ 腹の奥、っ、ヘンな感じ、してくるっ……!♡」
 キスの合間に零れた一言。比較対象が居るような言い方に少し心はざわついたけど、それ以上にちんぽを褒められた事への昂りの方が大きかった。教えてくれた弱点と、へんな感じがするお腹の奥。両方をより重点的に責め立てると、紅さんの内腿がぐっと突っ張って快感を伝えて来る。
「あっ♡ ぁっん、く……♡ もーちょい、で♡ イけそッ……!♡ もっと激しく、ぁッ♡ していいからぁ♡♡ ユキの、かってぇチンポで♡ 奥までガンガン突いて欲しいっ、ぁお゛ッ……!!♡♡」
 ぎりぎりのところで本能と戦いながら、めちゃくちゃに奥を穿ちたい欲求を堪えていたのに、眉を下げた表情でそんなオネダリをされたらもうダメだった。大きく腰を打ち付けて、そこから始まる本格的なピストン運動。ぎしぎしうるさいベッドの音と、二人分の息遣い。さらに紅さんの大袈裟すぎない喘ぎ声も加わると、俺今本当にこの人の事抱いてるんだって実感で胸がいっぱいになる。
 興奮で汗ばんだお互いの肌がぶつかり合う。内壁が断続的に締め付けを返してくる。もう紅さんはただ瞼を下して快感を拾い集めるだけで、軽口も何も聞こえて来ない。俺の脳みそは興奮で沸騰しそうなはずなのに、揺さぶられる紅さんの睫毛の長さと上気した頬の艶っぽさをやたら鮮明に眺めていて、今まで見たAVよりも同人誌よりも何よりも、やっぱりこの人が一番色っぽくて綺麗だなって、あえて言語化するとそんな事を考えていたように思う。
「あ♡ あ♡ ゆきっ♡ イきそっ……もう……ッ♡♡」
 切羽詰まった呼吸の中で紅さんが唇を嚙み締めた。その瞬間内壁が複雑にざわめいて、抱きしめるように俺のちんぽを締め付けた。
「やっばっ……!!♡ これっ、ナカからぁっ……!!♡♡ イくッ♡ イっ、く♡ イッ……ぐ、ぅうぅッ……~~~~~!!♡♡」
 びくんびくんびくんッ!!♡♡ ぎゅっと背中が丸まって、お尻が波打つように痙攣する。ぱさぱさと左右に振れる髪、シーツに皺を作る足の指。もみくちゃにしてくるナカの動きが、いつも紅さんに遊ばれている時とはちょっとだけ違うように感じたのは、俺の願望なのだろうか。
(紅さんの事っ……ちんぽでちゃんとイかせられたぁっ……!!♡♡)
 目の前の体がゆっくり弛緩していくと同時に、自分自身から滝のように汗が噴き出している事に気づいた。体中が熱い。興奮と達成感で心臓が張り裂けんばかりに脈打っている。不格好に息を弾ませる俺の下で、同じく胸を大きく上下させている紅さんがうっすら瞼を持ち上げた。熱っぽくてぼんやりとした視線がこちらを捉え、それから唇が薄く弧を描く。
「あはっ……よく出来ましたぁ〜……♡」
 女の子イキした余韻そのままの表情で、くしゃりと俺の側頭部に手を伸ばしてくる紅さん。行為の名残が色濃く残りながらも、いつも通りの力関係を取り繕おうとするその様子を眺めていると、内側からさらなる激情が湧き上がってくるのを感じた。
 もっと滅茶苦茶にしたい。余裕ぶってられなくなるくらいぐちゃぐちゃにしたい。何も考えられなくなるくらい俺でいっぱいにして、俺の中に閉じ込めて、この人の全部をむしり取って俺だけの物にしたい。思えばこの時の俺は、高揚しすぎて完全にタガが外れていたのだ。
「ひッ♡♡」
 痙攣が収まらない内壁をこそぐ勢いで、ギリギリまでちんぽを引き抜く。紅さんの鼻から裏返った声が抜けていく。
「あ゛ッ、お゛……!!♡♡」
 そこから勢いよく腰を突き出せば、柔らかく解れ切った最奥に亀頭が食い込んだ。動きにあわせて背筋ががくんと仰け反って、尿道口からぴゅくんと精液が飛び出す。ナカイキしたせいで半立ちのまま持て余しているちんぽを握りこみ、ガツガツと奥を穿ちながら上下に激しく扱きたてた。
「ひっ♡ あ゛♡ アッ♡ ちょっ、ま、てってぇッ!!♡♡ ナカっ、敏感になってっからぁ゛あ゛♡♡」
 俺の動きを止めさせようと伸ばされた腕を、逆にひったくってベッドに縫い付ける。まさかそんな事をされるなんて思ってもいなかったのだろう。紅さんの目が驚きに見開かれた。
「あッ♡ あ゛ッ♡ あぁぁあ♡♡ イく♡ なかと、そとッ♡♡ りょおほおイくう゛ぅ~~~~~ッ!!♡♡♡」
 今度は太ももを突っ張らせながら腰を持ち上げて、中イキと外イキの同時アクメを迎える紅さん。おまんこをきゅんきゅん締め付けて、俺に翻弄されながらの射精姿がまるで女の子の潮吹きみたいでエッチすぎる。この痴態を手放したくなくて、もっともっと乱れて欲しくて、搾り取るような手淫と共に奥突きをし続けた。
「ッやめ♡ 止まれってぇッ!♡♡ おくっ、よえぇのぉッ♡♡ お゛ッ♡ めひゅイキ、止まってねぇのにっ♡♡ おくばっかっ、ハメられたらあぁっ……!!♡♡♡」
 シーツに赤い髪が散らばって、汗の雫がまき散らされる。呂律すらも怪しくなって、俺に食べられる立場になったみたいに潤んだ瞳をすがらせてくる表情に、頭からつま先まで電気のような衝撃が駆け抜けた。
 今まで絶対に見せてくれなかった顔。俺はこれが見たかった。いつも飄々としていて、俺の事を弄んでばかりで、子供扱いしてばかりで、深い部分まで踏み込ませてくれなかった紅さんの、余裕がなくて無様な顔。なんて可愛いんだろう。なんて弱弱しいんだろう。自分の中の男としての本能が満たされていくのを感じた。紅さんは俺の神様で、絶対に逆らえなくて、この人の前では常に片膝をついていなきゃいけないんだって、そんな自分の中で勝手に定めたルールが音を立てて崩れていくような気さえした。
 ちらりと視線を下に落ろせば、汗ばんだ首筋に浮き立つ凹凸が、荒い呼吸に合わせて脈動しているように見えた。沸騰した頭でそれを眺めていると、何だかその部分が凄く柔らかくて美味しい物のように思えてきて、気づけば情動のままに歯を立てていた。
「い゛ッ……!!♡♡」
 ひゅっと息を飲む音と共に、中がぎゅ~~~~っと収縮して、それからさざ波のような痙攣が紅さんの全身を震わせる。明らかにメスイキしてる動きだった。首筋を噛まれた痛みでイっちゃったんだって、その事実と締め付けが酷く下腹の熱を膨張させた。
(このままイきたい♡ 紅さんの事食べたままイきたい♡ 紅さん♡ 紅さん♡ 紅さんっ……♡♡)
 俺の方も二度目の絶頂の気配を感じ取る。視界にちかちかと火花が飛び散って、もう何も考えられない。動物の交尾みたいに紅さんに噛みついたまま、一心不乱に腰を使っていると、いよいよ射精感が背筋を震わせた。
「紅さんッ♡ 紅さんすきっ♡ くれないさッ、あ♡ アッ♡ あ゛……っっ!!♡♡♡」
「ッ~~~~~!!♡♡♡」
 ベッドと自分の体の間に紅さんを閉じ込めて、熱くとろけた最奥に思いの丈を吐き出す絶頂感は、今までのセックスとは全く異なるものだった。密着する胴体を通して伝わるお互いの鼓動。息遣い。体温の熱さと、汗の匂い。体の奥でぐちゃぐちゃに繋がって、比喩ではなくほんとに一つになってしまったような気がした。
 好きな人を抱くってこんなに気持ちいい事だったんだって、全力疾走した後みたいな酸欠の頭でぼんやりと考えた。射精が終わってもしばらく紅さんに覆いかぶさったまま、胸に広がる幸福感を噛み締めた。
 
 *
 
 そして事後。噛み傷を確認する紅さんの背後にて、俺は正座で縮こまっていた。部屋にはいつにも増して濃い紫煙の香りが漂っている。
「あーあー、もうコレ完全に痕になっちゃってんじゃーん。しばらく目立つぜコレ~」
「スミマセンッ……!!」
 手鏡越しに恨みがましい視線を送ってくる紅さん。首筋についたうっ血痕は、ゆるやかにカーブを描く歯形そのもの。八重歯の位置なんて皮膚が破れて血が滲んだような跡もある。服を着た所で絶対丸見えになる位置で、見る人が見ればすぐに情痕だとバレるだろう。あぁ、ただでさえ色気むき出しな紅さんがこんなとんでもない痕つけてたら、不埒な輩に目をつけられちゃうのがお約束なのに……。って今はそんな事考えてる場合じゃない!! 俺のバカ!! 二重の意味で俺のバカ!!
「もう引退してっから良かったけどさぁ、これ現役時代だったらどうなってたと思う~? 損害賠償モンだぜ~。命拾いしたな~ユキちゃん」
「ごめんなさい……!!」
「ったく俺がちょ~っと甘やかすとすーぐ調子乗ってよぉ、テメそういう所だからな~? 分かってる~?」
「はいっ、すみませんでした……!!」
 チクチク刺してくる言葉に対しても、ごめんなさい以外の言葉が見当たらない。紅さんの事となるとどうも自制心を欠きがちなのが自分の短所だと思う。思えば同人誌が見つかった事といい、昂ぶりに任せて傷をつけてしまった事といい、今日は謝ってばっかりだ。甘やかされてついうっかりやりすぎちゃうっていうご指摘も、あながち間違いではない。
「あの、紅さん、その……まだ痛い、ですか?」
「あ? 痛ェに決まってんだろぶっ飛ばすぞ」
「ごっ、ごめんなさい! ほんとにごめんなさい!! 病院とか行かなくて大丈夫ですか? 俺ほんとに、二度とそんな事しません!!」
 平伏土下座する勢いで反省しきりの俺を振り返り、紅さん小さく笑いを零した。
「……でも、ま」
 ぎしりとベッドが鳴り、身を寄せてきた紅さんに軽いキスを落とされる。目の前の表情は面白そうな笑みの形になっていて、どうやらこれ以上俺の事を糾弾したいわけではないらしい。
「これはこれでかなり燃えたけどな。光源氏計画としてはおおむね順調ってトコかねぇ」
「え? ひかる、げんじ……?」
「あれ? もしかしてユキちゃんって意外とバカ? ま、そういうトコも可愛いけど~」
 言葉の意味を考える間もなく背中に腕が回ってきて、二人まとめてベッドに沈み込む。横並びになって向かい合う紅さんの表情は、今しがたまでお小言を言っていたとは思えないほど、何だかとてもご機嫌に見えた。
「そういやお前背伸びた?」
「あ……はい。この間の身体測定では、三センチ伸びてました」
「毎日レッスン頑張ってっから、体つきもシッカリしてきたな」
「そう、かな? 自分ではよく分かんないんですけど……」
「ふふっ♡ いいねぇ、ユキも大人になってんだな~♡」
 事後のけだるい空気の中で、成長を確かめるように体をなぞられて、それが少しくすぐったくて、でも愛されてる感じがして幸せだ。こそばゆさが新たな官能に変わる前に紅さんの手のひらは離れていって、あとはお互いに至近距離で顔をつき合わせるだけになる。耳を澄ますと聞こえる程度の、かすかな呼吸音と空調の音だけが、薄暗い部屋に響いている。この距離感で黙ってじっと見つめられるのは、いまだにちょっと落ち着かない。
「……ゆーき」
 静かに名前を呼ばれて、顔にかかる髪をそっと払われる。今の紅さんの瞳は、月明りが反射した海面みたいな優しい色。普段見ている力強くて男性的な色合いとはまるで違って、しっとりした雰囲気にどぎまぎしてしまった。
「最高にヨかったぜ。テメェに抱かれんの」
 しかも突然まさかのお褒めの言葉を頂いたものだから、俺はもうどうする事も出来ずに顔を真っ赤に染める事しかできない。紅さんは喜びに震える俺を見て目を細めた後、ぴったりと体を抱き寄せてきた。それから首筋に、甘えるように頭が擦りつけられる感覚が。
「……また今日みたいなエッチもしてくれよな♡」
 耳元で聞こえた吐息交じりのお誘いに、何なら今からでももう一ラウンドいけそうな気分になってしまった。でも散々やらかした後に節操もなくそんな事をしてしまっては、今度こそ本気でお仕置きされそうな気がしたので、俺はぎこちない動きで紅さんの背中に手を回すに留めたのだった。
 
 紅さんにバレた時にはこの世の終わりかと思ったけど、それがキッカケで関係が一歩進展した気がする。そしてそもそも創作物を目にしなければ、こんなキッカケも与えられなかったわけで……。
 ありがとう同人誌。ありがとう作者様。俺、腐男子になって良かったです。
 
 
 
 
 
 がぶっ。
 
「い゛ッだ!! 痛い痛い痛いッ!! 紅さん!? 紅さん痛い!!」
 なんて、いい雰囲気で終わりそうになった所で、突然耳たぶに鋭い痛みが走った。すぐに紅さんに噛みつかれてるんだって分かって引きはがそうとするも、リーチの長い手足でがっちりと捉えられていてどうする事も出来ない。
「ぶあーーーーッはっはっはっはっは!! かかったなこのクソガキが!!」
 俺を突き放すようにベッドから起き上がった紅さんは、悪の大魔王みたいな笑い方で中指を立てて手鏡を放り投げてきた。慌てて鏡をのぞき込むと、耳にはくっきりと歯形が残っていた。こんなの明日学校で見つかったら、っていうか絶対見つかるしどう説明すれば……!!
「紅さんっ!!」
「痛み分けだバーカ♡」
 とんとんと自分の首筋を指さして、ピアスの刺さった舌を突き出す紅さん。こちらも傷をつけたのは事実な手前、ぐっと言葉が出なくなってしまう。
「は~、やり返したしスッキリスッキリ♡ シャワー浴びてビール飲も~っと♡」
 仮にも俺アイドルの卵なのに……紅さんの会社の商品なのに……! それに仕返しで噛み痕つけるなんて、あまりに大人げなさすぎるでしょ!!

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